2021 年 77 巻 7 号 p. III_385-III_392
製鋼スラグの混練による底質中の重金属類の溶出抑制効果を検討した.市販の粘土に金属類(Ca,Cd,Cr,Cu,Mn,Zn)の標準溶液を添加して作成した模擬底質と,それに転炉系製鋼スラグを混練して安定化処理を行った安定化底質に対して64日間の拡散溶出試験を行い,溶出挙動を比較した.含有量に対する累積溶出率で判断すると,いずれの元素も,製鋼スラグの混練により溶出率は大幅に低下した.また拡散に支配されたと判断される範囲のデータに基づいて,模擬底質と安定化底質中のCa,Cd,Cr(VI),Cu,Mn,Znの有効拡散係数をそれぞれ算出して比較したところ,安定化底質では模擬底質中と比べて約1/25,1/261,1/4.7,1/(1.3×107)以下,1/2619,1/(1.8×107)以下になっていた.