2022 年 78 巻 3 号 p. 87-103
揮発性化学物質(Volatile Chemical Substances: VCSs)による汚染土壌から屋内等への揮発成分の拡散に伴うヒトへの健康リスク評価のためには,不飽和土壌から地表面に至るVCSsの移動現象に従い,地表面付近で生じる揮発フラックスの定量的評価が重要となる.本報では,不飽和条件下での移流・分散数値解析手法に基づき開発した,VCSsで汚染された不飽和土壌からの揮発フラックス予測モデルを用い,VCSsのモデル化合物としてエタノールを用いた土壌カラム試験での揮発フラックス変化のヒストリーマッチングを実施した.その結果,不飽和浸透特性,土壌間隙内の気-液平衡の関係を定量的に求め,分散係数の各パラメータの最適化を図るとともに,構築した予測モデルの妥当性を検証した.