2022 年 78 巻 6 号 p. II_69-II_75
本研究では,空隙を有した円筒形の魚礁に水底面を模した床材を設け,定住種のハゼ科チチブ(Tridentiger obscurus)の行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的に室内実験を行い,その傾向を現地実験で確かめた.魚礁は空隙となる塩化ビニル製パイプ(以下筒)の下に床面を取り付けたものを作成し,実験に供した.室内実験の結果,床を設置すると筒への選好性は高まり,水中を泳ぐ個体は減少した.また床の長さを長くするとその効果はさらに高まった.尼崎運河での現地実験では,室内実験と同様に筒と床を設けた魚礁で個体数が多く,幼魚から成魚まで様々なチチブが蝟集するという特徴が確認された.以上のことから,チチブに適した環境を創出する場合には,空隙とその下の開口部にチチブが定位できる6cmの床面を設けた魚礁を設置すると効果的であることがわかった.