抄録
 本研究では,下水管網診断のための予防保全計画策定に対してAHP理論を援用することで,ユーザーが比較したい複数の診断候補箇所と評価基準の重要度を評定するだけで,診断方法と診断位置の順位付けが合理的かつ自動的に行える意思決定支援システムのプロトタイプを構築し,その検証を行った.
 筆者らが提案する支援システムは,既存アナログデータをデータベース化し有効活用することで,代替案における一対比較の作業工程の全自動化を可能とし,一対比較行列構築やウェイト算定ならびに代替案の順位付けが整然と行えることを特徴とする.また,AHPではユーザーに大きな負担を強いる一対比較作業の問題点を大幅に改善することで,意思決定に対するユーザーの負担軽減と合理化を実現した.