抄録
既設コンクリート構造物の合理的かつ経済的な補修・補強用吹付けコンクリートの開発を目的に,比較的安価で急結剤やポリマー材料を用いないのり面用湿式吹付けコンクリートにポリビニルアルコール(PVA) 短繊維を混入する方法を提案し,その施工性向上に関する検討を行った.本試験では,単位セメント量やシリカフューム置換率および短繊維混入率を変化させた吹付け施工試験を行い,各パラメータが施工性に及ぼす影響について検討した.その結果,提案の補修・補強用吹付けコンクリートの場合には単位セメント量を430kg/m3程度,シリカフューム置換率を10%とすることにより,はね返り率や短繊維残留率が改善され,上向き吹付けに対しても良好な施工が可能となることなどが明らかになった.