2008 年 64 巻 3 号 p. 261-271
本研究は,斜面崩壊危険箇所評価図を比較・解釈する上での問題を指摘した上で,評価図に対する新たな評価指標を提案したものである.トレーニングデータ(教師データ:既崩壊地&未崩壊地)と評価図上の情報(崩壊可能性有・無)の組合せ事象を2×2分割表に整理した上で,条件付きエントロピーに基づいて「取得情報量」の定式化を試みた.種類の異なる評価モデルから作成される斜面崩壊危険箇所評価図に対する取得情報量を計算・比較した結果,一般に利用されている「的中率(対トレーニングデータ)」による精度評価の限界を補う新たな評価指標の一つとして,実務・研究開発両面において寄与することを示した.