2009 年 65 巻 3 号 p. 299-312
本研究は,山岳トンネル建設プロジェクトに内在する地盤リスクが建設コスト変動に与える影響を事後評価の観点から定量的に評価し,事前地質調査が地盤リスクを低減するためにどのような価値を有しているかについて検討を行った.具体的には,実際の山岳トンネル建設プロジェクト事例をもとに,地盤統計学手法を用いて確率論的に推定されたコストと実際のコストとの乖離量を建設コスト変動リスクとし,乖離の改善量を指標として地質調査の定量的な価値の評価を試みた.その結果,地質調査の進展に伴う乖離量の推移を定量的に評価し,限られた事前地質調査を効率的に実施するための意思決定に関する指標を示すことができた.