2007 年 63 巻 4 号 p. 278-283
アスベストによる健康被害が大きな社会問題となっている中,その飛散防止対策の徹底が喫緊の課題となっている.吹付けアスベストの処理では,アスベストを除去することが望ましいが,様々な状況のため,表面に薬液(固化剤)を吹き付けたり,内部に薬液を浸透させる「封じ込め」と呼ばれる処理が行われることが多い.封じ込めでは,薬液が隅々まで確実に吹き付けられているかどうかが非常に重要であるが,薬液の吹付け状況を簡易に確認する方法は確立されていない.そこで,本研究では,薬液に蛍光剤を混ぜ,それに紫外線(励起光)を照射することによって発光する蛍光を目視観測することにより,薬液の吹付け状況を確認する方法を提案する.さらに,現場での実験結果から,この方法の効果について述べる.