抄録
複雑な地形とその上を流れる地形風の影響を受ける屋外音響伝搬を予測するための数値解析手法を構築した.複雑な地表面での完全反射境界処理について検討するとともに,MASCONモデルにもとづく風速場を導入することで地形風の影響下の音響伝搬解析を実現した.なお,風による音の移流効果等を高精度に考慮するため,空力音分離解法で用いられる,音場と風速場の連成項を考慮した支配方程式を導入している.基本的な地表面形状の地形モデルによる検証解析を行ったところ,本解析で用いた地表面境界処理の結果は鏡像音源モデルの結果とよく一致し,完全反射境界処理の妥当性が確認された.また,複雑な地表面形状を有する実地形モデルにおける解析の結果,地形による音の反射・散乱・回折などに加え,地形風による音響伝搬性状の違いを再現できた.