2012 年 68 巻 2 号 p. 260-273
グラウンドアンカー(以下,アンカー)工法は,法面等の安定を維持する抑止工法である.アンカーは,施工後の残存引張り力の管理が重要とされており,一部のアンカーに対して残存引張り力を確認し,その結果をもとにアンカーや法面の健全性などが評価される.しかしながら,アンカーは,時間の経過とともに残存引張り力が個々でばらつきながらも法面の安定性を面的に維持する性質を持っていると考えられ,一部で確認された結果のみで健全性を評価するのは困難といった課題がある.そこで,道路法面に施工されたアンカーを対象として面的調査を実施し,背面地質やアンカーの健全性のばらつき,法面変状に伴う過緊張等の発生割合などに着目した検討を行い,アンカーの残存引張り力の分布特性に着目した新たなアンカー法面の維持管理手法の提案を行った.