2013 年 69 巻 4 号 p. 457-468
軟弱な粘性土地盤中に建設されたシールドトンネルでは,周辺地盤の圧密によって変形が緩慢ながらも長期的に進行する場合がある.これを予測するには土水連成解析が有効な手法であるが,変形の進行を精度良く予測するためには,ひび割れによる覆工剛性の非線形性を考慮することが必要である.しかし,土水連成解析で広域的に地盤をモデル化して変形挙動を求める際に,材料のひび割れによる精緻な非線形挙動を考慮することは計算コストの面などから現実的ではない.そこで本研究では,室内実験と実計測結果との比較から,ひび割れ発生による影響を簡易なリング一様の剛性低下で表現する手法を考案し,その妥当性を確認した.