2014 年 70 巻 1 号 p. 16-32
岩盤は節理などの不連続面が極めて多く分布し,その力学的挙動は節理の幾何学的分布に強く支配される.岩盤上構造物の地震時挙動も同様の影響が想定され,中越地震(2004年)頃から節理系を考慮した地震応答解析法を研究してきた.宮城県沖地震(2005年)の際,同県の牡鹿半島にある大型構造物直下の岩盤内地震計記録をえたので,従来の弾性解析と上記手法で比較を試みた.その結果,観測された記録は不連続性を考慮した手法で比較的良く一致するが,弾性解は大きな違いがあった.2011年に東北地方太平洋沖地震(Mw = 9)が発生し,その規模は宮城県沖地震より格段に大きい.本研究は,先と同じ場所で取れた地震記録で不連続面を考慮した同じ地震応答解析を行い,その手法の巨大地震への適用性の有無を照査し,ほぼ同様の結論をえたのでその結果を述べている.