抄録
廃棄物処分場には廃棄物に起因する有害物質の封じ込め機能が期待されており,既往研究においては封じ込め機能が長期的にも十分達成される等の結果が得られている.しかしながら,特に海面廃棄物処分場は数十年にわたって供用されるにも係らず,構成部材の劣化を考慮しないまま評価が行われていることから実現象と乖離している可能性がある.本研究では,海面廃棄物処分場において重要な役割を果たす遮水工に着目し,遮水工の劣化を考慮した有害物質を含み得る廃棄物保有水の漏出挙動に関して,3次元浸透・移流分散解析を用いて長期的な定量評価を行っている.その結果の一例として,遮水工の劣化が進行しない理想状態と比較して,遮水工の劣化を考慮することで有害物質の漏出量が著しく増加する可能性が示された.