2017 年 73 巻 1 号 p. 23-38
近年,岩盤斜面の地震時安定性評価において,岩盤の破壊箇所や残留変位量を評価できる時刻歴非線形解析の実用化が望まれている.本研究では,より合理的な地震時すべり安定性評価手法の構築を目的として,軟岩斜面を対象とした検討を実施した.本論文では,まず,時刻歴非線形解析において岩盤の破壊後の挙動を定量的に評価するため,室内試験によりせん断破壊後のひずみ軟化過程における強度変形特性を把握し,解析におけるモデル化に反映した.次に,軟岩斜面の動的遠心力模型実験を対象として解析手法の適用性について検討を行い,せん断破壊後の強度変形特性を適切に考慮することで,残留変位が実験結果と概ね整合することを確認した.