抄録
近年,異常降雨や大規模地震に起因する高速道路の被災事象が顕在化しつつあるなかで,降雨や地震などによる複合災害に効果的に対処する予防保全対策の確立が喫緊の課題となっている.そこで,この課題を解決するために,排水ボーリングの材料として鋼管を用い,その周面にスリット形状の水抜き孔とスパイラル形状の“羽根”を設けることにより,排水効果と地盤補強効果を同時に期待したのり面補強工法の開発・実用化に向けた原位置試験をおこなった.その結果,設計に必要な鋼管と地盤との付着性能を明らかにするとともに,のり面安定の重要な要素である降雨時における盛土内水位の上昇抑制ならびに降雨後の地盤に生じるサクションの回復に着目して,鋼管の排水性能を定量的に検証することができた.