2018 年 74 巻 3 号 p. 306-317
本研究では養生がペーパースラッジ(PS)灰系改良土の強度特性に及ぼす影響を調べるとともに,養生にともなう物性変化の要因を検討した.その結果,PS灰系改良材の吸水性能は経時変化しないにも関わらず,養生にともない液性指数が低下しPS灰系改良土が硬化すること,またコーン指数はゆるやかに増加し液性指数と一義的な関係があることが明らかになった.一方,PS灰系改良材の成分組成は普通ポルトランドセメントのものに定性的に類似し,養生にともないPS灰系改良土にエトリンガイトが生成することが確認された.このエトリンガイト生成などによるPS灰系改良土中の拘束水量の経時変化を,40℃加熱の含水比試験結果により評価した結果,液性指数の変化とよい相関が認められ,さらに拘束水量に基づいて評価したコーン指数は実測値に比較的一致した.