抄録
29の全球気候モデル(GCM)の実験結果を,地域メッシュ統計による第1次地域区画(約80km四方)単位に整理し,国内の代表的な7つの流域を対象に降水量および気温について解析を行った.現在気候の再現性をアメダス観測値で評価すると,水平解像度の高いMRI-AGCMが優れていた.水平解像度が100km以上であるCMIP3では,個々のGCMの再現性は低いが,マルチモデルアンサンブルにより再現性は向上した.一方,将来気候変化の推定においては,CMIP3とMRI-AGCMの予測結果の間に明瞭な差異が認められず,再現性向上が将来気候予測の不確実性低減に直結しないことを示した.これらを踏まえた上で,流域スケールの水文解析に際し,観測値をベースとしたGCM出力値の実践的な利用方法を検討した.