抄録
2011年タイ洪水を対象に,衛星情報を活用した緊急対応の降雨流出氾濫予測を実施した.洪水がピークを迎える10月中旬に計算した結果は,下流部の広域氾濫が11月末まで長期化する可能性を示唆していた.この内容は洪水の実態と照らし合わせて概ね妥当であった.その一方で,主要地点におけるピーク時の河川流量や浸水位を約40%,2m程度過大に評価していた.その原因をダムや河道断面の影響など項目別に分析したところ,蒸発散の効果を反映していないことが主たる原因であることが分かった.これらの分析結果をもとに,世界の大規模洪水を対象にした緊急対応のシミュレーションにおいて,現状の技術で概ね予測できること,できないことを議論するとともに,優先的に入手・反映すべき現地情報について考察した.