抄録
Partridgeはコイ科のミノウが2尾で遊泳する場合は特定の1尾が主としてリーダーとなって遊泳するのに対し,3尾以上ではリーダーが存在しなくなることを発見し,2尾以下は魚群ではないという定義が定着している.しかし,流水中における魚の挙動を定量的に評価した実験はほとんど行われておらず,魚群内の尾数変化に伴う魚群行動に及ぼす影響を評価した実験はほとんど行われていない.本研究は,流速変化がアユの遊泳特性に与える影響を1,2,3,5,10尾ごとに解析したものである.その結果,尾数の増加に伴い先頭交代率,対地速度,遊泳速度は増加し,対地距離,遊泳距離は減少することが判明し,3尾以上の尾数から遊泳挙動の変化が緩やかになることが判明した.