抄録
南海トラフ巨大地震発生時に岡山市沿岸には数波に渡って津波が到来し,その最大津波高は約2.6 mと想定されている.岡山市の臨海地域のほとんどの部分が海抜ゼロメートル地帯で占められ,地震時において甚大な津波被害を受ける可能性がある.岡山沿岸を襲う津波は主に紀伊水道から鳴門海峡および明石海峡を経由してくる津波であることが既往の研究により示されている.そこで本研究では南海トラフ地震下における岡山市の迅速な津波対策に資するため,主に紀伊水道入口付近で得られた津波波形から,岡山市沿岸の津波挙動を簡易的にリアルタイム予測する手法を検討した.本研究により,紀伊水道で得られた津波波形からフーリエ解析により抽出した約60分周期の規則波の波形を主に用いることで,岡山沿岸の津波ピーク水位とその到達時間がさまざまな震源ケースにおいて正確に早期予測できることが示された.