抄録
本研究は,観測データの乏しい流域において気候変動影響評価研究を行うことを目標とし,再解析データを用いた準観測データの統計的作成手法の検討を行った.再解析データは観測値を基にデータ同化されているが,降水量に関しては直接同化されておらず,他の物理量と比較し観測値との間にバイアスが存在する.そこで本論文では降水量に着目し,手法の適用だけではなく適用範囲の検証も行った.その結果,再解析データの月降水量と観測値の降水回数,平均値,標準偏差の関係を利用することで,再解析データが観測値と同程度の降水パターンを再現出来ることが分かった.さらに,データの長期トレンドの有無に関わらず,較正期間に構築した手法により,検証期間の再解析データも良好に補正出来る可能性が示唆された.