抄録
クオンタイルマッピング法は広く気候モデル出力値の補正に用いられているが,補正の際に正しい値とみなす参照データの選択や補正を行う期間の設定により,補正結果が大きく異なる可能性がある.本研究はそれらの差異ついて,複数の初期値アンサンブル実験結果が利用可能な気候モデルの出力値を用いて定量的に評価した.初期値アンサンブルの選択により,30年間における日降水量上位1%タイル値に関して,参照データ比で20から30%程度の差が生じること,同じ2070年1月の月平均日気温が,2070から2100年を期間とした場合と2041から2070年を期間とした場合により,補正結果が全球平均で0.3から0.5K程度異なることが明らかとなった.クオンタイルマッピング法を適用する差にこれらの問題を考慮することの重要性が示された.