土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第61巻
降雨パターンと土壌雨量指数に着目した平成23年台風12号の土砂災害の誘因解析
田内 裕人中村 誠江種 伸之平田 健正
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2017 年 73 巻 4 号 p. I_1243-I_1248

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抄録
 平成23年台風12号の豪雨により,紀伊半島では大規模土砂災害が多発した.本研究では,気象庁の土壌雨量指数を用いた大規模土砂災害発生予測の知見蓄積を目的とし,紀伊半島南部の土砂災害現場を対象に,降雨パターンと土壌雨量指数の時系列変化に着目した解析を行った.その結果,表層崩壊・土石流現場では,土壌雨量指数が崩壊の約3時間前に履歴1位を上回った後,猛烈な雨により土壌雨量指数第1段タンクの貯留高が急激に上昇したことが分かった.また深層崩壊発生現場では,土壌雨量指数が長時間継続する強雨により履歴1位を上回り,土壌雨量指数の第2, 3段タンク合計貯留高がピーク近くになった際に崩壊が発生したことが確認された.以上により,土壌雨量指数を活用した表層崩壊・土石流と深層崩壊の発生予測に関する重要な知見が得られた.
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© 2017 公益社団法人 土木学会
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