抄録
家屋の形状と配置が氾濫流の挙動に与える影響は大きい.本研究では,2012年7月12日九州北部豪雨の中で甚大な洪水被害を受けた熊本県熊本市龍田陳内四丁目を対象とし,家屋の存在を考慮した平面二次元氾濫数値解析を実施した.LPデータをもとに詳細な地形データおよび国土地理院地図と航空写真から家屋情報の抽出を行った.数値解析の結果,堤内地家屋の配置と形状を考慮した洪水流量の違いによる最大浸水深および流況が明らかになった.また,家屋付近の流束運動量分布および構造物に作用する流体力は,洪水流量が増えるにつれて上流側と下流側の越流部付近で特に大きくなることがわかった.