抄録
平成28年台風第10号は,特異な経路をたどり,東北地方の太平洋側から上陸し,住宅被害が全壊・半壊・床上浸水等,約3000棟に上るとともに,22名の死者と5名の行方不明者が発生した.洪水氾濫により甚大な被害が発生した岩手県岩泉町乙茂地区を流れる二級河川小本川を対象として,外的要因(降雨状況,河道水位),地形的要因,氾濫流況を基に,洪水発生状況の考察を行った.地形状況や氾濫流況から,当該地区においては,改めて,早期の避難が重要となることを示すとともに,避難判断等の簡易な目安として,メソ数値予報モデルを活用することの有効性を示した.