抄録
現業中長期アンサンブル降水予測情報を考慮した実時間ダム利水操作手法の検討を行った.気象庁の週間アンサンブル予報と1か月アンサンブル予報の降水量予測値を利用し,分布型流出モデルHydro-BEAMを用いて1か月先までのダム流入量のアンサンブル予測値を算出した.その上で,1か月先までのダム利水放流の最適化計算を行い,得られた放流戦略に従った放流を日別で行うものとした.最新の予報データが得られる度に,流入量予測の算出および利水放流の最適化計算を実施し,更新された最適戦略に従った放流を実施することとした.吉野川流域早明浦ダムの利水操作を元に単純化したダム操作を対象に適用を行ったところ,予測情報を考慮せずに平年値に基づいて操作した場合と比較して提案手法では渇水被害を抑える結果となり,ダム利水操作への現業中長期アンサンブル降水予測情報の利用可能性が示された.