抄録
大規模浸水の計算の場合,計算領域も大きくなるので,計算量を抑えるために計算格子幅は極端に小さくできない.一般には,計算格子幅は50m程度(最近では25m程度)が採用されている.このような場合,小河川の水理は無視(河川内は満水と仮定)している場合があり,さらに都市の中の下水道施設も影響が小さいと仮定して無視される場合が多い.本研究では,大規模浸水の計算に対して,小河川および下水道システムを取り扱い,その影響を数値解析的に検討する.それらの配置に依存するであろうが,本研究の場合,小河川や下水道システムの影響は,破堤箇所付近では大きな差が生じなかったが,氾濫水の拡がりと浸水の低下において影響が生じた.また,地下鉄などの浸水の面からも,大きな差は生じておらず,大規模な浸水深の状況は大きく変わらない結果となったことが考えられる.