抄録
本研究では,荒川と隅田川で挟まれたエリアを対象として,荒川破堤時の大規模浸水についての数値予測計算を行った.このエリアには大口径の幹線下水道を含む高密度の下水道ネットワークと,旧中川・北十間川などの内部河川,さらにはこれらを結ぶ多数のポンプ所が整備されている.下水道など排水施設の状況を考慮して3通りの計算を行い,それぞれの氾濫状況の違いについて比較した.その結果,本エリアにおける氾濫水伝播プロセス特有のメカニズムを解明した.さらに,これらの結果のうち実在するインフラ施設を再現した検討を用いて,区が指定している避難施設の浸水リスク評価に関する検討を加えた.大都市における避難の危険性について示している.