抄録
和歌山県新宮川流域は,台風の紀伊半島接近に伴い,近年豪雨により浸水被害,土砂被害を被っている.地球温暖化による気候変動でこれらの豪雨の規模が大きくなる恐れがあり,将来的な被害対策を講じることが喫緊の課題である.本論文では,課題検討の一助となるように,平成24年台風4号を対象として,気象解析モデルであるWRFを用いて,まずNCEPによる客観解析データを境界値として,対象台風の積算降雨分布の再現実験を行っている.また気候変動リスク情報創生プログラムでのAGCMによる計算結果を用いて,擬似温暖化実験を実施し,台風中心気圧や積算降雨の変化について再現実験との比較を行い,計算降雨を入力値として崩土発生リスクの増加について考察している.崩土発生リスクついては,タンクモデルにより求められた土壌雨量指数と時間降雨を用いて評価する.