土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第61巻
領域アンサンブル予報を用いた洪水予測手法の開発-平成27年鬼怒川洪水への適用
牛山 朋來佐山 敬洋岩見 洋一
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2017 年 73 巻 4 号 p. I_193-I_198

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抄録

 近年の領域アンサンブル予報技術の著しい進歩は,豪雨や洪水を長いリードタイムで予測できる可能性を秘めている.そこで,アンサンブル洪水予測システムを開発し,予測可能性を調べた.大気部分は,アンサンブルカルマンフィルターを用いて領域アンサンブル予報を行ない,水文部分は降雨流出氾濫(RRI)モデルを用いた.このシステムを2015年の鬼怒川洪水に適用し,洪水の予測可能性を調べた.アンサンブル洪水予測の結果,リードタイムが21~15時間の場合は,洪水による流出ピークを定量的に予測することができた.一方,リードタイムが33~27時間の場合は,確率は低いものの,洪水流出発生の可能性を予測することができた.アンサンブル予測は,いずれの場合も気象庁の現業メソモデル(MSM)を用いた場合よりも優れていた.以上の結果,アンサンブル予測の高い潜在能力と限界が明らかになった.

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© 2017 公益社団法人 土木学会
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