2017 年 73 巻 4 号 p. I_223-I_228
ゲリラ豪雨と呼ばれる局地的豪雨が,首都圏で頻発している.道路交通管理の側面からも,災害リスクの事前回避に向けた先読み情報のニーズは高い.一方,長寿命で局地的豪雨をもたらすマルチセル型ストームは古くから注目されているものの,偏波レーダによる早期探知は未踏領域となっていた.そこで,本研究では京都大学防災研究所で開発されたゲリラ豪雨の早期探知の理論を土台とし,国土交通省により現業化されている高分解能偏波ドップラーレーダ網(XRAIN)を用いて,マルチセル型ストームの早期探知を試みた.その結果,XRAINの3次元観測値に基づく新たな理論は,東京都心周辺における冠水危険の予測可能性を示した.