2017 年 73 巻 4 号 p. I_229-I_234
代表的な短時間降雨予測モデルの一つである移流モデルは,モデルのパラメータ制限や考慮する過去のデータ数の違いなどの複数パターンの予測を行うことができる.また,予測される降雨の動きや発達・衰弱は,モデルのパラメータを要素とする行列の固有値によって特徴づけられている.本研究では,短時間降雨予測のさらなる高度化を図るため,高時間分解能を持つ気象レーダーと移流モデルを用いて,パラメータやデータ数パターンの選別方法について検討を行った.その結果,各パターンにおいて予測精度が良い条件が明らかになり,行列の固有値は降雨の特徴に対応するとともに,予測パターン選択の指標となり得る可能性を示した.