抄録
2011年に発生したタイ国での大洪水において,バンコクでは都市施設が浸水しただけでなく,道路が浸水することによって生活を行う上で必要な施設への交通利便性が大きく低下した.本研究では2011年タイ洪水によって道路ネットワークに深刻な遮断が発生したバンコク都を対象として,広域且つ長期的な浸水による道路交通利便性の低下量の推計手法を構築し被害の時系列変化の推計を行った.さらに,道路ネットワークの浸水対策を行った場合の,被害軽減効果の評価手法を検討した.評価の結果,浸水域以外の地域でも交通利便性の低下が発生していることが明らかになった.そして,この評価結果にもとづき対策シナリオの評価方法を提案した.