土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第61巻
メコン河下流域における洪水氾濫と純一次生産力の関係
平賀 優介風間 聡小森 大輔
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2017 年 73 巻 4 号 p. I_307-I_312

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抄録

 開発圧力を受ける氾濫原であるメコン河下流域において,洪水氾濫モデルを用いて年氾濫期間を求め,年氾濫期間と純一次生産力,土地被覆との関係を明らかにした.また,2000年~2013年のメコン河年最大水位を用いて洪水氾濫の規模と純一次生産力の関係を明らかにした.その結果,年氾濫期間が2ヶ月大きくなると,水田・畑の割合は約1割減少することが示された.純一次生産力の年最大値は年氾濫期間が7.5ヶ月となる地点でピークを示し,2.0 gC/m2/dayとなる.また,対象領域における土地被覆は,年氾濫期間により分類され得ることが示された.現在自然植生に分類される土地が水田・畑に開拓された場合,年間約134gC/m2の純一次生産量が失われることとなる.また,純一次生産力の年変動は,周期的な洪水氾濫の年変動に関係することが示された.更に,氾濫原端部における純一次生産力とメコン河の年最大水位には正の相関があり,年最大水位が1m変化すると,純一次生産力は平均で約0.28 gC/m2/day変化することが示された.

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© 2017 公益社団法人 土木学会
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