2017 年 73 巻 4 号 p. I_511-I_516
近年の河川災害の頻発を契機として,流量観測技術の高度化が進められている.特に流速計測についてはADCP,電波流速計,画像計測法などの精度が確認され,実用化や普及の試みがなされている.特に既存ストックである河川モニタリングカメラを有効活用できるという経済的メリットから画像計測法が注目されている.しかし,従来からあるLSPIV, PTVは頑健性確保などの理由からトレーサーを撒かなければならないことが多く,人的労力や危険性の面で課題が残っている.一方STIVはLSPIV, PTVと比較して頑健であり,トレーサーを撒かなくても高精度に流速を算出することが可能である.しかし,ユーザーが設定した方向の流速成分しか得られず,流向を合理的に定めることはできなかった.そこで本研究では流向が得られるLSPIVと頑健性に優れるSTIVの長所を組み合わせたSTVVを開発した.