2017 年 73 巻 4 号 p. I_517-I_522
河道湾曲部など洪水流が偏流する場所における浮子観測は,流量計算に用いる測線を横断面形状に応じて配置しない場合,測線と浮子の軌跡にずれが生じるため,観測流量の精度が低下する可能性がある.本研究では,準三次元洪水流解析に基づく浮子の軌跡の再現計算を行い,測線を修正することで浮子観測流量を高精度化する新たな手法を構築した.さらに,三川合流部の下流に位置する江の川水系尾関山観測所の浮子観測に本手法を適用し,流量の再現性を検証した.その結果,修正した測線を用いて実際の観測流量を算出することで,洪水の上昇期,ピーク期,減衰期の各時刻で,精度が向上することが示唆された.