抄録
都市域のリアルタイム水害対策を講じるには,地表面や下水道の流況を精度良く,且つ高速に予測することが求められる.本研究では,従来から用いられている物理モデル,いわゆる流出解析の課題である計算時間高速化に着目し,人工知能技術である機械学習により下水道管渠内水位の予測を試みた.また,機械学習を適用した場合に問題になる,過去に前例がない予測で発生する予測精度悪化の解決手段として,従来の流出解析結果を機械学習の学習データとするハイブリッド予測手法を提案し,各手法の比較評価を行った.比較評価の結果,機械学習により高精度で高速な計算が可能,キャリブレーションを行っていない流出解析でも機械学習で補正をすれば学習データとして使用可能,であることを明らかにした.