抄録
宍道湖におけるシジミの移動過程を解明するため,シジミを砂粒子と仮定しての移動評価を試みた.まず,造波水路を用いて,シジミを砂粒子と仮定することの妥当性の検証を行った.その結果,殻長による補正を行えば,シジミを砂粒子として扱い妥当な評価を行うことができることを明かにした.次に,流れと波浪に関する現地調査を行い,底面に生じるせん断応力の評価から,シジミは主に波によって底面を掃流移動していることが示唆された.さらに,波浪推算モデルSWANを用いてシジミの移動範囲の推定を行った結果,10mm以上の殻長のシジミの移動はあまりみられないが,それ以下の代表的な殻長については,強風時に波の発達する風下側の沿岸部を中心にシジミの移動可能な範囲を推定することができた.