抄録
水分野の温暖化影響評価や適応策検討を行うためには,国や地域全体にわたる広域水文モデルを構築するのが有効である.全球水資源モデルH08を利用することにより,データの乏しい地域でもこうしたモデル構築を効率的に進められる可能性がある.本研究ではH08を日本の九州に適用し,世界の主要な大陸河川に適用するために設計された標準的なシミュレーション手順を実施することで過去に観測された水循環がよく再現できることを示した.次に,高精度の入力・検証データが豊富に入手できる地域特性を生かし,入力気象データの観測密度とシミュレーション精度の関係についての知見を得た.