抄録
土石流の到達範囲には発生規模と地形条件が影響する.地方自治体の設定する警戒区域は,災害履歴と勾配を基に一つの規模を想定して設定されるが,近年は局地的な豪雨等の影響で,より大規模な土石流が多く発生傾向にある.近年,詳細な解像度の地形データが入手可能であるが,到達範囲を検討する際の適切な解像度は十分に把握されていない.本研究では災害事例を基に土石流の発生規模を分類して,異なる発生規模について解像度の異なる地形データで数値シミュレーションを実施した.結果から,小規模の土石流では解像度の違いが影響し,特に流路の地形データへの反映が到達範囲に影響することを示した.