抄録
近年の降雨観測技術の向上により洪水氾濫を引き起こす集中豪雨の降雨強度や時空間分布を正確に捉えることが可能になり,それに伴って洪水予測の精度も向上している.しかしながら洪水予測の際には降雨データ等の入力データの他に,モデル構造やキャリブレーション等の誤差要因も挙げられる.本研究では土研分布モデルのパラメータを最適化した際の誤差の収束結果と河川流量の再現性に着目し,キャリブレーションに起因する誤差を最小にした条件下で地上観測雨量とC-bandレーダ雨量の洪水予測に対する信頼性を比較した.誤差の収束結果はC-bandレーダ雨量の方が優れていることが示されたが,地上観測雨量でもNash-Sutcliffe指標が0.96以上の高い再現性であることがわかった.一方で,誤差評価地点以外での再現性はC-bandレーダ雨量の方が再現性が高いことが確認された.