抄録
昭和57年7月の長崎水害に代表されるように,自動車の車中で氾濫水に流されるというケースが多く見受けられる.このような災害への対策に資することを目的として,本研究では自動車に働く流体力の迎角(流向に相当)依存性を明らかにするための小型車を対象にした模型実験を行った.その結果,流向および水理条件に応じた流体力の評価が可能となった.また,得られた実験結果を基に,流向と水理条件に応じた冠水時の実車の危険率(流水により自動車が受ける力/流水に対する自動車の抵抗力)を試算した.その結果,流れと車の向きの関係により危険率は比較的大きく変化すること,流れを横断するような状況下では25cmの冠水時でも3m/s程度の流れがあれば小型車は流されうることが分かった.