2018 年 74 巻 4 号 p. I_373-I_378
名古屋の中心部を流れる新堀川は,水源が下水処理水のみで河川全域が感潮域であり,水質汚濁が進行して悪臭等の問題が発生している.これまで水質の実態調査が不十分であったため,水質調査を実施するとともに,水質改善に向けた具体的な手法を検討した.水質調査の結果,新堀川全域で底層に常に塩分が滞留しており,密度成層が形成されて鉛直混合がないため,底層の貧酸素化が顕著であることが判明した.また,河床形状計測により最下流での河床上昇が認められたことから,河床形状が潮汐流動に及ぼす影響について検討した.数値計算では降雨の影響を取り入れることにより,塩分とDOの再現性が確認され,これを用いて導水量の増大と河床形状変化の効果について検討し,下流端の河床掘削のみでは水質改善に効果が小さく,上流の底層からの導水が塩分成層の解消とDOの改善に効果があることが示された.