土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第62巻
新堀川における潮汐流動と河床形状が水質に及ぼす影響とその制御に関する研究
宇野 裕奎冨永 晃宏室屋 京介海野 優樹
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2018 年 74 巻 4 号 p. I_373-I_378

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抄録

 名古屋の中心部を流れる新堀川は,水源が下水処理水のみで河川全域が感潮域であり,水質汚濁が進行して悪臭等の問題が発生している.これまで水質の実態調査が不十分であったため,水質調査を実施するとともに,水質改善に向けた具体的な手法を検討した.水質調査の結果,新堀川全域で底層に常に塩分が滞留しており,密度成層が形成されて鉛直混合がないため,底層の貧酸素化が顕著であることが判明した.また,河床形状計測により最下流での河床上昇が認められたことから,河床形状が潮汐流動に及ぼす影響について検討した.数値計算では降雨の影響を取り入れることにより,塩分とDOの再現性が確認され,これを用いて導水量の増大と河床形状変化の効果について検討し,下流端の河床掘削のみでは水質改善に効果が小さく,上流の底層からの導水が塩分成層の解消とDOの改善に効果があることが示された.

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© 2018 公益社団法人 土木学会
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