抄録
2017年7月の赤谷川の災害では,上流の山地域からの大量の土砂と流木の流入が被害を深刻化させた.本研究では土砂と流木の流入及びそれらの洪水流に伴う挙動を解析的に取り扱う手法を構築した.この方法において,上流から多量の細粒土砂が供給される条件での解析を行い,また,流木については,これを移流・拡散方程式に基づいて記述して,流木の挙動及びその堆積過程を解析した.その結果,解析対象区間に流入した土砂の約7割が解析対象区間に堆積したことで元々の流路は埋没し,流路の位置が大きく変動した.また,解析の結果,上流から下流にかけての土砂分級現象が再現でき,これは現地の状況とも対応している.流木の挙動を考慮した場合には,これらの橋梁部への捕捉によって流路・河床変動及び洪水流の挙動への影響が顕著に見られた.