2018 年 74 巻 5 号 p. I_1261-I_1266
魚類の産卵生息場として,流速が遅く水深が深いalcoveと呼ばれる地形がある.本研究では,中規模河床形態の単列砂州領域の河道において,川幅の部分拡幅によって単列砂州発生領域における河道内の砂州の変化を知ることを目的に,移動床による水路実験を実施した.そして,形成された河床地形の平面二次元流況解析による水深および流速の分布から,alcove形状形成の有無を確認した.その結果,拡幅により強制砂州が形成され,それに侵入する自由砂州の移動速度が遅くなることが示された.しかし,水路幅に対する拡幅延長が5倍程度では,自由砂州の移動速度は強制砂州の影響を受けなかった.また,水路幅に対する拡幅延長が10倍程度では,流量低下後にalcove地形が形成されることが示唆された.