2018 年 74 巻 5 号 p. I_193-I_198
プノンペン市街地における浸水被害を軽減するために,現状の短時間降雨の特性を解析した.現在プノンペン市で排水機構設計に用いられている計画降雨強度式と比べると,実際の降雨現象はより短時間に集中し,強い雨の頻度も多いことが分かった.次に,全球気候モデルを用いて将来降雨の予測を行った.将来的な日降雨量に増加,減少の傾向は見られなかったが,1時間降雨では明らかな増加傾向を示し,現在の計画降雨量の20~80%の増加が見込まれると推定された.また,日単位以下の降雨データの不足を受け,高解像度のデータセットMSWEPが利用できるかを検討した.MSWEPは他の再解析データに比べて再現性は高いが,メッシュサイズによる降雨量減衰と降雨継続時間の関係が不明確であるため,短時間降雨量の定量化に利用することは難しいと結論づけられた.