2018 年 74 巻 5 号 p. I_199-I_204
本研究では,歴史資料を含む290年間の琵琶湖における湖水位と328年間の肱川大洲地点における洪水位および146年間のVeniceにおける潮位偏差・潮位の各年最大値資料の4事例に対する傾向変動解析の結果,潮位資料を除き,有意な傾向変動が確認されない3事例に対する極値統計解析(LSMモデル)に基づいて,つぎの知見を得た.1) 歴史資料を含む年最大湖水位資料から推定した琵琶湖の確率湖水位とその標準偏差のうち,とくに標準偏差は近年資料(134年間)の場合より減少し,推定値の統計的信頼性が向上する.2) ダム建設により肱川大洲地点において100年確率洪水位が約2m低下したと推測される.3) Veniceにおける再現期間500年の確率潮位偏差の推定値は過去約1200年間の異常潮位の生起状況からみても,おおむね妥当と考えられる.