2018 年 74 巻 5 号 p. I_277-I_282
平成29年7月九州北部豪雨の線状降水帯に対して,アンサンブル予測実験およびデータ同化実験を行った.アンサンブル予測実験において,アンサンブル予測平均では約半量程度の過小予測であったが,30メンバー中2メンバーは高い予測精度を有していた.その2メンバーを解析したところ,背振山地の南側と北側から回り込む風の収束によって,背振山地を乗り越えてきた高湿気塊が持ち上げられて豪雨をもたらしたことが明らかになった.データ同化実験では,2本の並列する線状降水帯の時間帯においてXRAINのデータを同化し,一方の線状降水帯からもたらされる外出流がもう一方の線状降水帯を強化している機構が確認された.