2018 年 74 巻 5 号 p. I_313-I_318
底面融雪は地下水や底面土質などに影響を受け,同一地点においても時期によって底面融雪量は変化する.本研究では,齋藤らが室内融雪実験と一次元移流拡散モデルによる解析から作成した底面融雪量計算式の精度検証のため,流出解析を行った.さらに,流出解析における誤差原因特定のため,気象データについて感度分析を行った.流出解析の結果,Nash-Sutcliffe効率係数(NS)の値として0.70を得た.底面融雪が卓越する時期における誤差はNS係数低下へあまり影響を及ぼさないことが示されたが,表面融雪が卓越する時期における誤差に対して底面融雪量計算式が与える影響については更なる考察が必要である.また,精度不良の原因として,流域内における気象データ不足が考えられ,蒸気圧データの変化が冬季における流出解析に最も影響を及ぼすことが示された.