2018 年 74 巻 5 号 p. I_37-I_42
地球温暖化に伴う気候変動の影響は,北海道等の積雪寒冷地で既に顕在化しつつあるが,市町村等の地域レベルで気候変動による生態系への影響がどの程度生じるのか,十分解明されていない状況にある.本報告では,気候変動に対する適応策を立案するための基礎研究として,気象庁が公開している気候変動予測データを用いて,積雪寒冷地の地域レベルにおける気象水文分布特性を推定し,熱・水収支解析モデル,流出モデルによりダム流域における河川水温の将来変化を定量的に評価した.フラックスの河道追跡によるシミュレーション結果から,ダム流域の環境基準地点において気候変動により4~10月で水温上昇が顕著となり,5月では現在気候に比べて最大6.6℃水温が上昇することが把握された.